川崎市多摩川沿いにおける日変化の観測研究
Observational Study on the DIurnal VAriation at Kawasaki City
〜DIVA-Kawasaki project 2011〜
2012年3月
気象研究室 神藤 曉
背景・目的
本研究では、川崎市における気象学的特徴となる日変化を調べることを目的に観測プロジェクトを立ち上げ、
Observation Study on the DIurnal VAriation at Kawasaki City (DIVA-Kawasaki project 2011)と名付けた。
本プロジェクトでは3つのテーマを設け、観測研究を進めた。
テーマ1
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川崎市多摩川沿線の東西における日変化と季節変化の比較
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テーマ2
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川崎市と横浜市の比較
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テーマ3
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上層風の特徴の観測
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観測概要
テーマ1
・観測場所:多摩川沿線の4つの川崎市立小学校と川崎市総合教育センター
・測器:Recorder TR-73U(おんどとり)
・観測期間:2011年7月5日〜9月30日(5分インターバル)
(教育センターは7月14日から9月28日)
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図1:テーマ1の観測地点
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図2:Recorder TR-73U(おんどとり)
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テーマ2
・観測場所:川崎市総合教育センター,横浜国立大学教育人間科学部第二研究棟屋上
・測器:Automatic Weather Station(AWS),SORA-oシステム
・観測期間:2011年7月14日〜9月28日(5分インターバル)
※SORA-oシステムは1分インターバル
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図3:テーマ2の観測地点
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図4:Automatic Weather Station(AWS)
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図5:SORA-oシステム
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テーマ3
・観測場所:横浜国立大学教育人間科学部第二研究棟屋上
・観測方法:パイロットバルーン
・観測日:2011年7月18日(1.5時間インターバル)
8月6日,9月28日(3時間インターバル)
観測内容・結果
テーマ1
小学校では気温、湿度、気圧を観測し、教育センターにはさらに風向、風速、UV、雨量を観測した。
得られた気温データから、多くの日の観測地点で日変化が起きていることがわかった。
DIVA期間で平均した日変化から、各観測地点の最高気温、最低気温、日較差を比較したところ、
全地点で最高気温、最低気温ともに7月から9月にかけて気温が下がる季節変化が起きていた。
また、日格差は大きくなっていた。
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図8:最高気温の季節変化
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図9:最低気温の季節変化
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観測内容・結果
テーマ1
小学校では気温、湿度、気圧を観測し、教育センターにはさらに風向、風速、UV、雨量を観測した。
得られた気温データから、多くの日の観測地点で日変化が起きていることがわかった。
DIVA期間で平均した日変化から、各観測地点の最高気温、最低気温、日較差を比較したところ、
全地点で最高気温、最低気温ともに7月から9月にかけて気温が下がる季節変化が起きていた。
また、日格差は大きくなっていた。
表1:平均日変化(℃)
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表2:季節変化量(℃)
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しかしその変化量は地点ごとに異なり、最高気温の季節変化量は臨海の観測地で小さかった。
最低気温に関しても、海側から内陸に向けて季節変化量が徐々に増加していた。
日較差に関しては、ほぼ海側から順に季節変化量が増加していた。
テーマ2
テーマ1で使用したAWSを川崎市の代表とし、気温、湿度、風等が観測できるSORA-oシステムを横浜市の代表として、
風向・風速の比較を行った。すると、どちらの観測地でも風の日変化が起きていることがわかった。
風速に関しては、川崎市の日変化が約0.7〜1.9m/sであるのに対し、横浜市では約1.9〜4.5 m/sと大きかった。
また、風向に関しては川崎市が北、南東、南西の三方向が主風向であったのに対し、横浜市は北、南南西の二方向であり、
日変化の様子も川崎市の方が大きかった。
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図10:川崎市の風速の平均日変化
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図11:横浜市の風速の平均日変化
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図12:川崎市と横浜市の風向の日変化比較
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テーマ3
パイロットバルーンを行い上層風の観測を行ったが、日変化は観測されなかった。
考察
テーマ1
観測地によって日変化の様子が異なるのは、観測地周辺の土地利用条件や、
建物の密集具合など環境の違いによるものであると考えた。
また、最高気温の季節変化が臨海の観測地のみ少ないのは、海面水温の影響が要因であると考えた。
夏から秋にかけて高くなる海面温度が、臨海の観測地の季節変化を遅らせていたと考えた。
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図13:海面水温の観測地
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図14:海面水温の季節変化
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テーマ2
川崎市の方が風向の日変化が大きかったのは、川崎市の方が横浜市よりも内陸に位置することから、
川崎市の方が内陸からの風の影響を多く受けているためだと考えた。
テーマ3
各観測日の上層風の特徴は、日変化や季節変化によるものよりも、
台風や前線、気圧配置などのより大きなスケールの気象現象が影響していると考えた。
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