これまで多くの観測から、気象には様々な周期があるといわれてるが、周期について、定量的な研究は行われててこなかった。そこで今回は、SPOTLIGHTプロジェクトという観測プロジェクトを立ち上げ、SPOTLIGHTプロジェクトにより得た観測データに周期解析を行い、横浜国立大学における様々な気象要素の周期性を検出することを目的とする。
*集中観測(パイロットバルーン観測)(図1)(図2)
*長期観測(SORA-o長期観測)(図3)
*周期解析…時間変化する現象から、その時間変化の中に隠れた周期を見つけることができる。
・1分観測データを使用
・解析期間 2013年8月1日〜2014年7月31日(1年間)
・対象周期 1時間〜5日以内の周期
図6は2013年12月の1か月の気温変化です。このようなほぼ同じ周期をもつ変化がみえます。 12月の初旬を周期解析した結果が図7です。24時間周期(1日周期)が卓越しているということがわかります。 12時間のところにもピークがありました。この12時間周期と24時間周期は、解析したほぼすべての月でピークがみられました。
図8は2013年11月に観測された風向の観測結果です。
方位を点でしめしており、ピンクのあたりが南風、青くなっているあたりは北風になります。横浜国立大学の屋上は、南北成分が主風向になることがわかります。
南北成分の風だけ取りだして、周期解析した結果が図9です。24時間周期(1日周期)が卓越しているということがわかります。
1日の間に風向が北と南で12時間毎に入れ替わる日変化が観測されていました。
⇒南側の海からふいてくる海風、北側の陸から吹く陸風が発生していると考察されます。
図10は風の南北成分の24時間周期が、どの時期で強くなるかを調べた、年変化の図です。
これより、もし海陸風を観測するなら、春先に行うとよいことを示唆しています。
解析結果(図7)より観測された気温(図6)は、24時間周期だけでなく12時間周期も卓越していた。
2014年6月2日〜6月3日に実際に観測された気温を図11に示す。
最低気温から最高気温に向かう時間が短く、最高気温から最低気温にむかう時間が長くなっている。
図12には24時間周期の気温変化、図13には12時間周期の気温変化の模式図に示す。
図12の24時間周期の気温変化モデルでは、最低気温から最高気温まで12時間、最高気温から最低気温まで12時間となっている。
図13の12時間周期の気温変化モデルでは、最低気温から最高気温まで6時間、最高気温から最低気温まで6時間となっている。
図14は24時間周期(図12)と12時間周期(図13)を足し合わせた図です。足し合わせた結果最低気温から最高気温が短く、最低気温から最高気温までが長くなりました。 先ほどの実際に観測された気温のグラフと比較してみると、最低気温から最高気温に向かう時間が短く、最高気温から最低気温にむかう時間が長くなるという特徴が一致しました。 このことから、私たちが普段感じている気温は、単に1日周期だけでなく、その上に12時間周期が重なっていることが考えられます。
・気温・風の南北成分は24時間周期が卓越していた。
・風向の日変化は3月〜4月が観測されやすい。
・実際に観測される気温は、24時間周期だけではなく、12時間周期があわさっている。