図
3.6 全国8地点の台風ノモグラム
・台風ノモグラムと地形
台風ノモグラムに現れる地域固有の風速比分布と地形の関係性を調べるため、全国約17000地点の台風ノモグラムのパターン分類
を行った。分類手法には自己組織化マップ(Kohonen, 1982)を利用した。自己組織化マップは多
次元データ・非線形データの分類に用いられる手法である。マップサイズを4x4に設定し、16パターンで分類を行った結果を図
3.7に示す。各ノードに固有のパターンが現れていることが確認できる。これらのパターンが地形とどのような関係にあるかを調べる
ために、それぞれのパターンの地域分布を調べた。図3.8は図3.7の枠色に対応させた配色で各パターンの
位置をプロットしている。
地域毎に共通のパターンが固まる傾向にあるが、それらのパターンが山の稜線や谷筋、海岸からの距離を境に分かれていることが確認できる。北陸では第三ノー
ド(オレンジ)に対応しており、これらの地域では台風が東を通過したときに強風となる傾向を持つことがわかる。これは、北陸では台風が東を通過した際に、
日本海から地形に遮られることなく強風が吹き込むためであると推測できる。このように、台風ノモグラムが各地の地
形的特性を反映した強風リスクを示すことが明らかとなった。