超水滴法を用いた台風環境場における積乱雲に対する数値実験

ふでけんHP

Introduction

超水滴法について

数値モデルにおける従来の雲微物理スキームには,バルク法やスペクトルビン法などが挙げられる.しかし,限られたモーメントと離散的なカテゴリによって表現せざるを得ないという根本的な制約を抱えている(Liu et al., 2023).特に,過冷却水滴は質量的に微少であり,凍結を伴う不連続な相転移に関与する.そのため,従来スキームでは系統的に過小評価あるいは十分に表現できない可能性が高い.したがって,本研究では,個々の雲粒子をラグランジュ的に追跡することから雲粒子の成長・衝突・併合・相変化などをより直接的かつ高精度に再現できるSDMを採用した.

Fig.1
図1 SDM(超水滴法)とSN14(2モーメントバルク法)

過冷却水滴の凍結

本プロジェクトでは,台風の脅威から解放された安全豊かな社会の実現を目指し,台風に対して人為的に介入し,勢力を弱めることで台風制御の実現に向けて研究開発を進めている(図1).様々な介入手法を検討しており,そのうちの一つが「過冷却水滴の凍結」である.

Fig.2
図2 介入手法の概要

過冷却水滴とは,上空で気温が0℃以下になっても凍らずに液体のまま存在する水滴のことを言い,雲の中にも微量ではあるものの存在することは分かっている(図2/青丸で示したのが過冷却水滴).本プロジェクトでも既に過冷却水滴を人為的に凍結させる手法は検討されており,この介入によって降水抑制の可能性がある.

Fig.3
図3 雲の中に存在する過冷却水滴(画像提供:名古屋大学/横浜国立大学 坪木教授)
本研究では,この雲の中の過冷却水滴に着目し,以下の通り目的を設定した.
目的
SDMを用いて過冷却水滴を強制凍結させることで,雲構造への応答を調べる.